2024年春にスタートしたカルチャーセンター「エントランス」、2024年春期の20講座を無事にやり切りました!
実際にやってみて、よかったところや想定と違っていたところ、工夫できるところなどがたくさん見えてきて、とても学びになりました。せっかくですので、初回の結果や学びもみなさんに共有しつつ、この4ヶ月間の講座を振り返ってみたいと思います。
開催講座
見返してみて、このラインナップは真面目な講座から趣味に振りまくった講座、中高年から親子連れをターゲットにしたものまで、いろんなタイプの講座を企画できたなと思います。普通のカルチャーセンターにもあるものも、ちょっとその辺ではやっていないものも混在している感じは、当初想定していた通りになりました。そしてそれぞれのタイプによって少しずつ結果が違っていたので、その差が見れたことが「初回の実験」としてはとてもよかったです。
数字的な結果
登録会員数:67名(通常会員10名、スポット会員57名)
開催講座数:19講座(諸事情により1つ休講となりました)
受講者のべ数:161名(講座あたり平均8~9名)
総フォロワー数:191名
開始当初の目標会員数は「70名」だったので、ほぼ目標に近い会員数は達成できたのですが、その内訳がちょっと違っていました。想定は「通常会員30名、スポット会員40名」でしたが、思ったより通常会員が少なく、スポット会員が多かった、という結果になりました。
これはつまり、こちらとしては「年間受け放題」で登録してもらって「いろんな講座を受けて、様々な世界の入口を見て楽しむ」という楽しみ方をメインとして提案していたつもりだったのですが、実際にはそういう楽しみ方をする人は少なく、特定の講座をピンポイントで受けるためにスポット会員として登録する人が多かった、ということになります。この点は「工夫できるところ」として後でもう少し触れたいと思います。
よかったところ
まずはシンプルに「楽しんでもらえたし、楽しかった」
各講座が終わった後に「アンケート」を取るのですが、毎回講座の満足度がとても高かったです。もちろん顔がわかるレベルの少人数でやっているから悪い評価を書きづらい、という点もあるとは思うのですが(笑) それを差し引いてもほとんどが5段階評価で5で4がほんの少しと、かなりの高評価でした。なによりアンケートうんぬんではなく、参加者が前のめりで質問をしたり一緒に笑ったりと、双方向でやりとりしながらワイワイと受講ができるという雰囲気を見ていると、楽しんでくれていることが伝わりました。この点は、エントランスが他とは違う体験を提供できていたように思います。
そして運営側は毎週講座を受けているわけですが、毎週知らない話ばかり聞かせてもらえるので、とにかく楽しく学びになり、知的好奇心が満たされる豊かな時間を過ごすことができました。改めて講師をして下さった皆様に感謝をお伝えしたいです。
「これまでになかった視点」を獲得し、世界を見る目をアップデートできる
どの講座も「新しい世界を覗かせてくれる」という点では変わらないのですが、下に挙げた講座は特に「身近にあって普段何気なく見過ごしているものの中に、こんなに面白い世界がある」と気づかせてくれた講座だったと思います。これらの講座を受講したおかげで、普通に街を歩いたり乗り物に乗ったりする風景の中に「おっ」と思わせてくれるフラグが立つようになり、まさに視点がアップデートされたと感じることができました。
建築の講座をしてくれた白数さん。神戸にこんなに貴重な建築物がたくさんあるなんて知らなかったし、見るべきポイントも理解できて、大変勉強になりました
鉄道の講座をしてくれた河村さん。これまで線路の「幅」を気にして見たことなんてなかったのに、この講座を受けてからというもの、幅が気になって仕方ありません(笑)
宇宙の講座をしてくれた宇宙さん。何か物事を考える時に「これが宇宙だったら」と思うだけで、あらゆる前提事項が覆って全く新しい発想が生まれてくる、という体験はとても楽しい気付きでした
飛行機の講座をしてくれた川下さん。普段なにげなく乗っている飛行機なのに全然知らないことばかりで「こんな見方があるのか」と目からウロコの講座でした
「教養」として新しい世界の入口を学ぶことができる
ここで挙げた講座は、おそらく他のカルチャーセンターでもあるような一般的な「教養」にあたるような講座でありながら、それぞれの奥深さに入る手前の「入り口」で楽しさを教えてくれる内容であり、見識を広げるきっかけになる講座たちだったと思います。
美術品を直接触ったり、器でお酒を飲んだりと、貴重な体験をさせて下さった藤田さん。美術品を身近に感じさせてくれる講座でした!
ワインの講座をしてくれた小金丸さん。ワインの違いを体感しながら、それをどう表現するのか?という知識を学ぶことができました
デンマークの学校「ホイスコーレ」で学んできた経験を話してくださった松田さん。日本とは異なる教育環境の体験談はとても新鮮で、新しい気付きに溢れていました
世界を巡った体験を写真付きで解説してくださる「冒険譚」のような世界史の講座をして下さった南里さん。40年以上前に海外を放浪するなんて凄すぎます
初めてのパン屋に入ったら必ず「バケット」を買うという阪口さん。大きさ、原材料、焼き方の違いでこんなにも変わるんだということを体感させてくれました
書道の講座をしてくれた桜木さん。中国の書道の凄さを語りながらも、日本独自に発展してきた「書」の楽しみ方や書道の基本を教えて下さいました
すぐに使える「実践的な学び」も得られる
頭の中の世界を広げてくれる講座だけではなく、すぐに使えるような「実践的」な知識や技術を教えてくれる講座も開催できました。意図的に設定したのですが、受講する方も「楽しもう」というよりは「学ぼう」という方が多くなったので、少し真面目な雰囲気になりました。その点も、講座の種類にバリエーションがあってよかったなと思います。
国語の講座をしてくれた吉田さん。ちゃんと自分が考えることを話せる、人が話していることを聞けるようになる、という、本質的な国語に触れさせてくれました
話の交通整理術という講座をしてくれた岡部さん。「話の整理」という講座をするのに、自分が整理して話ができなかったら洒落にならない、と必死だったそうです
小物作りの講座をしてくれた三宅さん。子供でも簡単に作れるアクセサリを作らせてくれたので、子供たちは大喜びで作ったものを着飾っていました
お金の講座をしてくれた岡さん。資産形成の基本的な考え方を、論理的かつわかりやすく教えてくれ、資産形成の大切さがよくわかる講座でした
デザインの講座をしてくれた河田さん。感性やセンスを頼りにデザインするのではなく、言語化してロジカルに「デザイン」を解き明かしてくれました
ガンプラ入門の講座をしてくれた佐合さん。大人が集まって密室でプラモを作る異空間も面白く、モノづくりをする楽しさを思い出させてくれる講座でした
「講師の意外な側面(B面)」を見せる機会になった
エントランスとしては、受講者だけではなく講師にとってもなにか新しい一歩を踏みだすきっかけになったり、講師の意外な側面を見せることができて、それが新しいことにつながっていくような、講師にとっても嬉しい場でありたいと思っています。そういう意味で、このお2人の講座は特に参加者から「こんな面があるなんて知らなかった」という声を参加者から直接頂いたので、新しい側面を見せることができたのかな、と思いました。
昆虫愛を熱弁してくれた萩原さん。この講座のことをSNSにあげて下さって、それがきっかけで別の場でも昆虫のお話をすることになったそうです(笑)
NPO界隈では有名な坪田さん。実は前職は仏像彫り師だったということはあまり知られておらず、その一面を紹介できたのも面白かったと思います
工夫できるところ
上に書いたように、とても楽しい講座ばかりだったので、講座そのものやその組み合わせについては実はそんなに反省する点はなかったりします(笑) それ以外のところで、細かいところの改善や、新しいアイデアなどで工夫できるところがあったと思いますので、ここで共有しておきたいと思います。
講座をする「場」をもっと心地よくする
せっかく講座を開くので、講師にとっても受講者にとっても心地よい場を作る工夫は忘れないようにしたいと思っています。講座開始までの緊張感をほぐすために音楽をかけたり、手持無沙汰っぽい人に声をかけたり、気温やエアコンの風の方向など調整したり、講座中のプレゼンが見やすいように照明を落としたり…。あるいは、講師と知り合いの受講者が多いケースの場合に、そうでない受講者がいる場合はその関係性をちゃんと説明をするとか(この点はアンケートでご指摘頂きました。貴重なご意見、ありがとうございました)、そういう「気遣い」にあたる工夫は、もっと追及していきたいと思います。
この楽しさをもっと多くに人に知ってもらう工夫をする
「よかったところ」に書いたとおり、とにかく楽しくて、知的好奇心が満たされる豊かな時間だったんです。この楽しさをもっと多くの人に伝えたいなと思っていて、そのために何ができるかを考えたいと思っています。(この記事もその一環だと思っています)
- SNSでの発信、リーフレットなどの設置
- 他の団体とのコラボレーションをすすめる。同じく「学び」をテーマにした団体だったり、街やいろいろな人とつながりたい若者を支援する団体など、連携することでお互いにとってWin-Winの関係を築ける相手を見つけたいと思っています。ご紹介や立候補、お待ちしております!
- 受け放題とは別に、スポット会員で1つ講座を申し込んだら他も1つ見れるというような「回遊」の仕組みを作るなどして、「ちょっと興味がある」ものを受講できる機会を増やす
特別講座のようなものを作る
いわゆる部屋の中でやる「講座」だけでなく、そこから外に出る講座も増やしてもいいかなと思います。2024年春期の講座では「フィールドワーク」として神戸の建築物を実際に見て回る講座をやりましたが、ああいう講座を増やすのもいいと思います。大相撲や美術館を見に行ったり、なんなら海外に行ってみたりするのも面白いんじゃないかと思います。
講座そのもの以外のところでも楽しい場に
受講者の方からも声として頂いたのですが、講座の時間だけではなく、それ以外でも交流できる時間があれば嬉しいという声を頂きました。実は運営側でも「交流会」という場を作ろうとは思っていたのですが、先に書いた通り「スポット会員」が多く常連はとても少ない状況だったので、スポット同士ではなかなか繋がるモチベーションがないんじゃないかなと思って実施していなかったんです。
秋期の講座期間中は、交流会のような場を設けて講師と受講者、講師同士、受講者同士の交流がはかれるようにしていきたいと思っています。
秋期に向けて
現在、2024年秋期の講座の選定と日程の調整を行っています。期間は2024年10月末から2025年3月末までの5ヶ月間を想定していまして、講座ラインナップは2024年9月末までには公開したいと思っていますので、楽しみにお待ちください!
そして、1つだけ決まっている予定として、2024年10月23日(水)19:00から、秋期講座の始業式を開催したいと考えています!始業式では、来ていただける講師のみなさんにも来てもらって、秋の講座概要の簡単な説明をして頂きつつ、交流する機会としたいと思っています。これまで参加したことがある人も、ちょっと興味あるけどなかなか行けなかったんだよね、という方も、ぜひご参加頂ければと思います。またSNSやこのサイトで案内いたしますので、フォローどうぞよろしくお願いします!